不妊治療の体験談

44歳・最後のチャンスにかけた黄体期の採卵体験談

最後のチャンスと信じて、保険が適用できない病院へ転院。転院してすぐに採卵を行いました。

今回の採卵は、排卵が終わった後に刺激をはじめる黄体期の採卵(Luteal Stimulation)。今までは生理がはじまってからの採卵だったので、全く違う方法でした。通常は、ガンなどの事情があり、時間を無駄にできない方がよく利用される方法のようです。

私も、年齢が年齢なのである意味では時間を無駄にできないので、そういう意味で先生はこの方法をおすすめしてくれたのかもしれません。結果的には良かったなと思います。本記事で、黄体期の採卵・体験談について紹介していきます。

黄体期の採卵スケジュール

なんと今回の採卵では、父の具合がわるくなり日本に帰らないといけなかったので、医者に特別に優遇してもらったのですが、採卵前の通院がたったの3回という驚異的な(少ない)回数でした。いつも生理が定期的にきていたので、それでもいいとの判断だったようです。スケジュールはこちら。

注射での卵巣刺激は10日でした。

  • 4/2 (Day 1) 病院に連絡
  • 4/4 (Day 2) 検診
  • 4/13 Day 11 HCG注射(おそらく排卵を確実に行うためのもの)
  • 4/15 Day 13 刺激開始 (FSH1本とレトロゾール)
  • 4/22 Day 20 検診
  • 4/23 Day 21 CetrotideとFSHを追加
  • 4/25 Day 23 検診
  • 4/26 Day 23 トリガーショット(Pregnyl, Leuprolide, and FSH)
  • 4/28 Day 26 採卵

黄体期の採卵に使った薬剤

FSH:Gonal-Fを毎日250IUずつ注射しました。大きな容量のGonal-Fを注文してくれて、毎日針を変えて駐車していき、少しでも余りがでないように工夫してもらえたので、少しは節約できたと思います。

レトロゾール:毎日2錠を摂取。

Cetrotide:刺激開始から9日目から注射開始。ごく普通の注射。そこまで痛くない。

FSH:刺激開始から9日目から注射開始。900IUのものを購入し、毎日250IUずつ注射をしていきました。少しだけ多めに入っていることが多いので、最後まで使い切って、足りない分を2本目で注射するという形に。日によっては2本刺すことになったのですが、それでも痛みは少ないので、そこまで負担にはなりませんでした。

hCG、リュープリン:排卵を誘発するトリガーショットとして利用。ごく普通の注射。そこまで痛くない。

黄体期の採卵にかかった費用・コスト

こちらの病院は、保険の適用外ということですべて自己出費となりました。コストはこちら。初診・採卵・凍結・PGD(遺伝子検査)も含めて$17,560です。

項目価格
初診$785
採卵(1回)・凍結(1年)$12,900
PGD(3個分)$3,875
合計$17,560

実際には、医者が保険の適用外(ネットワーク外)ですが、適用外でも少しだけカバーしてもらえるとのことで、保険会社から2ヶ月ほど後で$10,350ドル程度の返金がありました。実質、7,000ドル程度の出費です。

さらに、採卵で曲者なのは、薬のお金がかなりかかること。かかったお金はこちら。こちらは、薬剤によっては保険が適用できますが、私の保険は注射はカバーしないとのことだったので、かなりのお金がかかりました。

薬剤名購入した薬局名価格
ゴナールエフAlto$2,800
PregnylAlto$120
レトロゾールCVS(記録なし、しかし保険適用で10ドル前後だったはず)
AzithromycinCVS(記録なし、しかし保険適用で10ドル前後だったはず)
リュープリンAlto$598
CetrotideAlto$560
合計約$4,078

採卵1回で、実質の出費は$11,000前後でした。

黄体期の採卵体験談

実は、採卵をするぞと決めてから、急に父の具合が悪くなり日本に帰らなければいけない状況になったので、病院側には無理を言って、診察の回数を減らしてもらうなど融通を効かせてもらいました。

スケジュール的には、最初の診察を終えたら、すぐに日本に帰って、日本で注射を開始。採卵の1週間前に、アメリカに戻ってきて、コロナ検査、採卵前の診察、採卵という流れになりました。

全体的に、刺激の期間は変わらないのですが、注射の本数がぐっと少ない。前回の他院でのときよりはかなり少なくて、本当に楽でしたね。ただ、今回は日本とアメリカで刺激用の注射を打ち続けることになるので、一定の時間に打ち続ける必要があり、日本とアメリカで同じ時刻を保てるように、日本の13時・アメリカの21時で毎日注射を打ち続けました。

注射をはじめて飛行機に載せて…としたのですが、色々と面倒ですね。正直、アメリカ側は注射のことはなにも言われませんでしたが、日本の国内線の飛行機が融通は利かないし、気も利かないので、小一時間ぐらい揉めてしまいました。総額30万円に近い薬剤を冷却して持ち歩いているのに、それをそのまま、チェックインしろというので…。詳しくは、こちらの記事で紹介しています。

採卵日の当日は、全身麻酔となるので1日年休をもらって行きました。当日は3時間前から絶食。これはいつものことなのでなんてことありません。病院に到着して支払いを済ませると夫は採精部屋へ。私は、処置室へと連れて行かれました。処置室で洋服を着替えると、看護婦さんがやってきて血圧を測ったり、装置を取り付けたり。しばらくして先生がやってきて今日の説明を聞いたところで、麻酔を入れると言われて、一瞬で意識が落ちました。そして、目覚めたときは同じ椅子の上、だけどすっかり採卵が終わった後でした。他の病院では、全身麻酔から醒めたら30分ぐらいリカバリの時間があった気がしますが、こちらは麻酔の量が少ないのか、すぐに洋服を着て病院をあとにできるほど回復していました。

その後、自宅に帰って横になっていましたが、前回や前々回、大学病院での採卵と比べると、だいぶ身体への負担が少ない印象を受けました。

翌日からは仕事に復帰、1週間後には再び日本に帰ることになったのですが、術後の回復も順調で、前々回のようにOHSSの心配もなく体力が回復しました。

黄体期の採卵周期で出来た卵胞の数と大きさ

右の卵巣左の卵巣卵胞の数(合計)
Day 2(記録なし)(記録なし)(記録なし)
Day 203(14)8 (15.2)11
Day 234(24.7)8(21.5)12

今回の周期は右の卵巣に入っている卵胞の数は少なめ、左は8つとかなり大漁の様子です。どこの病院も最大の卵胞が22ミリや23ミリを超えてくるとトリガーショットを経て、採卵となるのですが、今回は、少し大きめの24.7ミリ。さぞかし、成熟した卵子がたくさんあるのではと期待しました。

黄体期の採卵で取得できた卵子の数と品質

採卵した卵子の数は9個。他の病院では顕微授精でしたが、夫の精子の数値がよくなったとのことで、この病院ではふりかけ法。ふりかけで受精した受精卵は7個。そして、胚盤胞まで育ったものが3個という結果でした。

更に、胚盤胞まで育った受精卵のグレードはこちら。

  1. 4BB – Day 5
  2. 5BC – Day 6
  3. 4(CD)C – Day 7

正直、Aランクのものが全く採れていないので、時間の経過とともに卵子の質は低下しているのだとと感じさせます。

以前の採卵の結果はこちら(別記事)

そして、更に上の胚盤胞に対してPGDで遺伝子検査を行った結果、4BBの胚盤胞が遺伝子正常であるとの結果をもらいました。私の年齢であれば遺伝子正常である確率は1割だと言われていたので、3個しかない胚盤胞だと微妙だな、また駄目かもしれないと諦めかけていましたが、なんとか首の皮一枚でつながった感じです。

実は、PGDの結果を聞いたのは、父の葬儀が終わった数日後。父がつないでくれた命だと思わずにはいられませんでした。お父さん、ありがとう。

まとめ

なかなか日本語では情報がすくない黄体期の採卵ですが、個人的には生理期の採卵よりも楽に採卵できた印象を受けました。薬剤も少なく、身体や精神的にもずっと負担が少なかったです。病院によって、こんなにも差があるのかと驚きました。こんなことだったら、正直はやくこの病院で治療を受けるべきでした。

今回のPGDで遺伝子が正常な受精卵を1個獲得できたので、次はERAのやり直し。そして移植へと続きます。

44歳の私の最後の不妊治療。首の皮一枚でつながりました。希望を捨てずにがんばります!