不妊治療の体験談

2回めの胚盤胞移植が陰性、失望と絶望。そして…

2回めの移植も陰性、さらに満を持して挑んだ2回めの採卵。10個近くも採卵できたのに、遺伝子異常ばかりで移植できる胚盤胞なし。「君には卵子提供しかないよ」とアメリカ人医師に言われ、絶望感にしばらく落ち込んでいました。

不妊治療は辞め時が難しい、といいますがまさにそのとおり。不妊治療のやめどきの本もいくつか読みました。本を読みながら涙しました…。

私も44歳。先生からはもう1回採卵しても遺伝子が正常な卵をとることができる確率は1割以下だと言われました。なんなら2-3%と言われた記憶が。保険が適用されても100万円以上かかる採卵。100万円払っても正常な卵が1個も採れないかもしれない。普通に考えたら、不妊治療は終わらせるべきです。頭ではわかっているんです。どうやって不妊治療を終わらせればいいのか、自分の中でも整理がつかない。

卵子提供も考えました。私は卵子提供でも良いと思いました。遺伝子は違うかもしれないけど、お腹の中で10ヶ月間育てるわけだし、自分の子供として育てられると思いました。卵子提供のサイトも見ました。ただね、夫が卵子提供は嫌だと言うのです。それでも、夫は自分の子供がほしい。夫も子供がほしいけど、実際には子供ができないという夢と現実の間でひどく悩んでいるようでした。

サードオピニオンとして、日本の婦人科の先生への無料相談も行い、本当に可能性がないのかと聞いたら、「もう諦めなさい」と言われました。

実は、私は夫と離婚したほうがいいのではないかとも思うこともありました。夫は子供がほしいというのですが、私にはそのチャンスは限りなく低い。夫を幸せにする自信はあります、でも夫に子供だけは作ってあげられないのです。そんな気持ちから、夫は他の方と人生を歩んだほうがいいのでは、とも思いました。夫とも離婚の話をしました。夫は「子供はほしいけど離婚はしたくない」と言ってくれました。嬉しかったです、でも私は子供が作れないんです…。どうしたらいいのかと、悲しくなりました。

色々辛くて、人生で初めて、メンタルのカウンセリングも受けました。「不妊治療でいきずまった、離婚も話に出ている、でも離婚はしたくない、だけど彼が欲しがっている子供を授けることはできない。」正直、カウンセラーの先生も困りますよね。答えはわかっていても、私はその答えに納得できないのですから。ただ、そのカウンセリングで言われた印象的なことは、「あなたはご主人のことが大好きなんですね」ということ。私も、そこまで夫のことが大好きだとは気づいていませんでした。他の方に言われて、何かハッとするところがありました。

そんな気持ちで悶々としながら数ヶ月経ちました。

ただ、ずっと考えながら、これで不妊治療を辞めて自分は納得できるのかという気持ちが少しだけありました。確かに2年間、不妊治療を大学病院でやってきました。年齢的にはもうアウトです。でも、もしかしたら、他のやり方を試したら違う結果があるかもしれない、と。普通に論理的に考えたら、私の考えは間違っていると思います。可能性が限りなくゼロなのに大金をかけてチャレンジするってバカです。でも、私にはそれしか方法がなかったし、他のやり方をためしてもだめだったら、その時に自分の中では諦められると思ったのです。不妊治療をもう一度、他の病院でチャレンジしたい。自分のお金で不妊治療をしよう、そう決意しました。

そんなわけで、近所で最も評判が高い鍼の治療院を探し、保険の適用・不適用に拘らずに最も不妊治療の評判が高い病院をいくつか探し出し、連絡を取り始めました。以前は、コスパよく子供を授かりたいというスケベ心があり、保険が適用できてソコソコの病院を中心に探したのですが、もうそれでは駄目だと思いました。

以前は中華系の鍼の先生に行っていたのですが、鍼が少し太いのか痛くて苦痛だったし、鍼の先生が中国語オンリーでコミュニケーションができないのが嫌だったので、日系の鍼の先生をリストし、評判を読み込んで、距離は遠いけど、保険治療ができて、不妊治療に強いという先生にアポイントメントを取りました。その先生に、このエリアで評判が高いという病院もいくつか紹介していただきました。

鍼の先生の紹介、自分で調べた病院をあわせて、いくつか有望な不妊治療の病院と面談をしました。

ある病院では、IVFではなくIUIを何度かして数をこなしていったらどうかと言われました。確かにIUIは金銭的にも精神的にも負担は少ないのですが、本当にIUIで良いのかという疑問が残りました。なんとなくですが、結果を出すための治療というよりは、私の気持ちが済むまで何かをするという治療のように感じました。ただ、この病院は検索サイトでは評判も高く、行きつけの産婦人科医からも推薦された医者だったのですが、なんとなく消極的な治療方法に未来を託したいという気持ちになりませんでした。

そして、このエリアではかなり評判が高い、保険適用外の病院へ勇気を出して連絡。初診の予約をとろうとしたら年齢を聞かれ、43歳と答えると、その年齢では患者さんを受け入れていないと断られました。

さらに、もうひとつ、評判が高い、鍼の先生に紹介していただいたアメリカ人の先生のもとへ。いつもは2-3年待ちという病院ですが、なぜか運良く私は2週間ほどでアポイントメントをとることができ、さらに担当は院長先生。幸運すぎるめぐり合わせです。実際に話しを聞いて、前の病院では自然サイクルの移植でやったERAが正しくない可能性があることを指摘され、また採卵も黄体期の採卵をすすめられました。なんとなく、しっくりきたのでこちらの病院でお願いしようと決意。保険適用外なので、かなりの値段がかかると予想されますが仕方ない、これが最後のトライという覚悟で申し込みをお願いしました。

このような経緯を経て、新しい病院で、保険適用外での治療が再開となりました。